先日こんなニュースを見ました。
2019年”時短営業”について本部に申し立てをしていた東大阪のセブンイレブンが本部との契約を解除されたというニュースです。
元コンビニ運営者の筆者としてはなかなか衝撃的なものでした。このニュースを知ったのが12/30なので、少し遅いほうではありましたがこの件に関して調べてみたので、その内容をまとめ、さらにはセブンイレブンの契約内容についてご紹介いたします。
セブンイレブンが独自時短営業の店舗と契約解除
まずこのニュースは“セブンイレブンが契約解除”と聞いても訳が分からない方もいると思うのでセブンイレブンの仕組みについてご紹介いたします。
本部と加盟店の関係性
2019年は何かとセブンイレブンが報道番組や世間を騒がせていた年に感じます。これまでコンビニ報道番組などで取り上げられるのは恵方巻やうなぎなどの販売についてなどネガティブな話題でないことでだと感じています。
それが2019年は
- 時短営業
- 食品廃棄
- キャッシュレスで不正発覚
などなど、何かとネガティブなコンビニの話題がニュースになっていたかと感じます。今上記であげたキャッシュレスの問題以外は本部と加盟店の関係
つまり契約が絡んできます。
その契約についての前に今回契約解除を発表したセブンイレブンを普段何気なく利用している我々消費者からすると本部も加盟店も
同じセブンイレブンなんじゃないの?
と疑問になるかもしれませんが、実は違うんです。
セブンイレブンに本部と加盟店というのがあるのは本部と加盟者(社)がフランチャイズ契約を行っているからなんです。
フランチャイズ契約について
↑ の図を見ていただくと解るようにセブンイレブンの本部(FC本部)と加盟者はフランチャイズ契約を結びます。セブンイレブンは自社の持つ
- 看板(ブランド)
- レシピ(商品)
- ノウハウ(マーケティング技術やツール)
などを加盟者に提供します。加盟社はこれに対して加盟金やロイヤリティを支払います。契約を結ぶにあたって契約書を交わしますので契約内容も本部と加盟者双方が確認します。
それなのになぜ今回東大阪のセブンイレブンで“契約解除”が起きてしまったのでしょうか。
東大阪セブンの契約解除理由はクレームの多さ
今回ご紹介している東大阪のセブンイレブンのニュース。そのニュースの中でニュースの発端になっている人物としてセブンイレブン東大阪南上小阪店オーナーの松本さんについてもよく紹介されています。
このニュースはかんたんに説明すると
セブンイレブン本部と加盟店の意見相違
のようなものに感じます。
今回セブンイレブン本部が規約解除の理由にあげたのが“同店のクレームの多さ”とのことで、メディアなどで
「日本一クレームの多い店」
ということが理由でセブンイレブン本部が契約解除を申し立てたと紹介されています。
クレームの内容は致し方ない場合も
この”クレーム”というのもまた難しいものでお客様が「お客様相談室」にクレームとしてお声を寄せた場合クレームになります。しかし、なんでもかんでも受けたクレームをクレームとして処理するほどセブンイレブン本部が機能していないわけはありません。
お客様相談室にクレームとして入ったご意見はこんな内容がお客様相談室に入ったと、該当店舗に事実確認(ヒアリング)が行われます。
その事実確認の中で店舗に非がなさそうであればクレームとしてカウントされないケースもあります。
現在ではモンスターカスタマーという言葉もあるように、クレームを入れる際にあたかも自分たちは客で非がないというようなニュアンスで店の悪いところだけを主張してくることもあります。
だが実際に事実確認をしてみるとクレームの内容になっていることは始めにお客様が~~をしたためです。なんてこともあります。
↑ こんな内容のクレームが入ったとします。これだけ見れば店舗側がどうして注意したの?店舗で買ったもののゴミを店舗のゴミ箱に捨てるのはいけないことではないよね?と感じます。
それが実はこのクレームを入れた方が毎朝、毎晩行きや帰りに家庭ごみやその店舗で買ったものではない間食のゴミを捨ててたとします。
それを見ていた店員さんがたまたまその店舗で買ったものを捨てていた時に注意をしてしまってクレームになってしまった・・・
こういったクレームとなった事象の背景がわかるとどうでしょう?
これはクレームにならない可能性が高まります(決してクレームにならないということではありません)
今回の東大阪セブンイレブンの契約解除の理由として挙げられている”クレームの多さ”というのはこの記事を読んで致し方ない部分もあり、双方の意見相違になっているのかと感じられます。
契約解除時に違約金の支払い義務が発生する場合も
今回のような契約解除なのですが、通常コンビニのフランチャイズ契約には契約年数が存在します。
今回報じられているセブンイレブンの契約年数は15年です。仮にこの15年を迎える前に加盟者が病に倒れて店舗の運営が難しいなどの理由から契約解除を申し立てた場合、違約金が発生します。
契約を解除する、契約に反しているという違約金です。東大阪のセブンイレブンの件の発端はオーナーが独自で「時短営業」を行ったことが始まりでした。
セブンイレブン本部側は24時間営業を求めていて、そのような契約を交わしていると主張。その契約に違反しているとして東大阪セブンイレブンのオーナーに違約金1,700万円をの支払いを申し立てました。
しかし、後日セブンイレブン本部はこの要求を撤回し、東大阪セブンイレブンの独自「時短営業」を認め、今後他のセブンイレブンでも時短営業を認めるよう発表を行いました。
この件を見て、感じたのが今回クレームが多いということで契約解除になった場合の違約金はどうなるのだろうという点です。
契約解除や契約違反の決定権は本部に
先ほどご紹介したように加盟者がどうしても店舗の運営ができなくなり、契約期間満了前に契約解除を申し立て場合、違約金が発生します。
そして、本部が加盟店に対して契約内容との相違がある場合も契約解除が行われます。この場合本部がブランドイメージ毀損などの理由から半ば強制的に契約解除をおこなえます。
何がお伝えしたいかというと
契約の決定権は本部にある
ということです。筆者もコンビニで約10年ほど働いていたのでこれまでコンビニ業界の抱える闇のようなニュースや事例は目を通してきたつもりです。
やはりその中で加盟店である自分たちが普通だと思っていたことが、実際に働いてみると違って、それに反すると契約解除になる。や、契約解除をちらつかされる。といったことがあります。
このような経験も筆者にもしょっちゅうありました。そして考えます。ぶっちゃけ加盟店(筆者は雇われ店長でした)は恵方巻を100本売ろうが300本売ろうが特に儲かりません。
ビジネスでやっている以上、儲け/利益は度外視できません。当時の筆者はそんなこと誰が考えてもわかることだよな。と思い、なぜ本部はこんなに売ることに前向きなのかなと疑問に感じていました。
本数 < 利益
というマインドが当たり前なんではないかと。
本数 = 利益
これも間違いではありませんが、売りまくるには多少の経費が掛かります。単純な話300本売るのはかんたんです。初めから70%OFFの売価で販売したら確実にさばけます(笑)
しかし70%も割引したら仕入れの原価割れを起こし、売るたび赤字になるのでそんなことはできません。前年比300%売るなんてことになるとかなりの準備と多少の経費が必要になります。
だから普通〇〇本売りましょう!ではなく○○円利益確保しましょう!じゃないの?と。ちなみにこの例はもう〇〇本売りましょうも、もう実は本部的には心の底からの提案ではないんですね・・・
極論、本部は何本売れるかなんて関係ないんです。
店が何本発注したか
が大事なんです。お店が発注する仕入れ先は本部の製造工場です。お店が発注したらしただけ本部の利益になります。そういったことが絡んでいるのからなのか、発注数が少ない期間が続くだけでも契約解除になりかねないというような話をされることもあります。
最後に
ここまで東大阪のセブンイレブンのニュースを見ながらコンビニの契約内容についてご紹介してまいりました。
現在、東大阪のセブンイレブンは契約解除は不当とし、訴訟を検討しながら独自で店舗の運営を行っているようです。
ネットニュースの口コミなどには賛否両論様々な意見が寄せられていました。確かに双方少しやりすぎているのかな。とも感じますが、セブンイレブン本部が強硬姿勢やイケイケな姿勢というのは今も昔も変わらないんだなといった印象を持ちました。
2019年色々な話題で世間を騒がせたコンビニ業界。2020年はいったいどんな話題を提供してくれるのでしょうか。乞うご期待。